目次
業務用エアコンの電気代は、店舗やオフィスの運営コストに大きく影響します。
本記事では、馬力別の電気代の目安や、自分でできる簡単な計算方法について解説します。
また、電気代が高くなる原因を特定し、1時間単位のコスト意識から始められる具体的な節約術まで、幅広く紹介します。
日々の運用を見直すことで、コスト削減は実現可能です。
業務用エアコンの電気代は、能力を示す「馬力」によって大きく異なります。
例えば、小規模な店舗で使われる3馬力のものと、広い空間に対応する10馬力のものでは、消費電力が全く違います。
一般家庭で普及している家庭用エアコンと比較すると、業務用は出力が大きい分、電気代も高額になる傾向があります。
ここでは、3馬力、4馬力、5馬力、10馬力といった代表的なモデルを比較し、家庭用との違いも踏まえながら、電気代の目安を解説します。
業務用エアコンの1時間あたりの電気代は、馬力数と運転モード(冷房・暖房)によって変動します。
例えば、ダイキン製の一般的な機種を参考にすると、3馬力の場合は冷房で約25円、暖房で約22円です。
5馬力になると冷房で約43円、暖房で約44円、10馬力では冷房で約88円、暖房で約86円が目安となります。
一般的に、外気温との温度差を大きく作る必要がある暖房運転の方が、冷房運転よりも消費電力が大きくなる傾向にあります。
ただし、機種の省エネ性能や外気温などの環境要因によって実際の金額は変わるため、これらの数値はあくまで参考値として捉える必要があります。
1時間あたりの電気代の目安を基に、1ヶ月の電気代を算出します。
仮に1日8時間、月に25日稼働させたとすると、3馬力のエアコンでは1ヶ月あたり約5,000円から5,500円となります。
同様に5馬力の場合は約8,600円から8,800円、10馬力では約17,200円から17,600円が目安です。
もし24時間稼働させる施設であれば、この金額の約3倍のコストがかかる計算になります。
業種や施設の用途によって1日の稼働時間は異なるため、自社の状況に合わせて計算し、月間のコストを把握することが重要です。
業務用エアコンの電気代は、カタログなどに記載されている目安だけでなく、自社の利用状況に合わせて正確に把握することが可能です。
電気代の計算は、エアコン本体の「消費電力」と、契約している電力会社の「料金単価」が分かれば、簡単な式にあてはめるだけで算出できます。
このセクションでは、その具体的な計算手順を3つのステップに分けて解説します。
まず、使用している業務用エアコンの消費電力(kW:キロワット)を確認します。
この数値は、エアコン本体の側面や下面に貼られている銘板シール、もしくは取扱説明書に記載されています。
例えば「冷房能力4.0kW」「消費電力1.2kW」のように記載されており、計算に使用するのは後者の消費電力です。
多くの場合、冷房時と暖房時で消費電力が異なるため、それぞれ確認しておく必要があります。
また、単相200Vなどの電源の種類も記載されていますが、電気代の計算で直接使うのは消費電力(kW)の数値です。
この値が、エアコンが1時間あたりに消費する電力量の基本となります。
次に、契約している電力会社が設定している電力量料金単価(円/kWh)を調べます。
この単価は、毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」や、電力会社のウェブサイト上のマイページなどで確認できます。
料金プランによって単価は異なり、時間帯によって料金が変わるプランや、季節によって変動するプランも存在します。
特に法人が契約する高圧電力プランは、一般家庭向けの低圧電力プランとは料金体系が異なるため、自社の契約内容を正確に把握しておくことが重要です。
最新の料金単価を確認し、計算に用いる準備をします。
ステップ1で確認した「消費電力(kW)」と、ステップ2で調べた「電力量料金単価(円/kWh)」を使って、1時間あたりの電気代を計算します。
計算式は「消費電力(kW)×1時間×電力量料金単価(円/kWh)」です。
例えば、冷房時の消費電力が1.5kWで、電力量料金単価が30円/kWhだった場合、「1.5kW×1時間×30円/kWh=45円」となり、1時間あたりの電気代は約45円と算出できます。
この計算方法を用いれば、自社で利用しているエアコンのおおよその電気代を把握でき、コスト管理の第一歩となります。
業務用エアコンの電気代が高いと感じる背景には、いくつかの明確な理由が存在します。
日々の電気代を押し上げている原因を正しく理解することは、効果的な節約対策を講じる上で不可欠です。
ここでは、電気代が高騰する主な3つの理由について掘り下げていきます。
これらの要因を把握し、自社の状況と照らし合わせることで、改善点が見えてきます。
エアコンは、室内の空気を吸い込み、設定された温度に調整して吹き出すことで室温を維持します。
この過程で最もエネルギーを消費するのが、圧縮機(コンプレッサー)が稼働する時です。
外の気温とエアコンの設定温度の差が大きければ大きいほど、エアコンは目標の温度に到達させるためにより多くの熱交換を必要とし、圧縮機をフルパワーで稼働させます。
特に、猛暑日の冷房運転や厳冬期の暖房運転では、この温度差が顕著になるため、消費電力が急増し、電気代が高くなる直接的な原因となります。
エアコン内部のフィルターにホコリや汚れが溜まって目詰まりを起こすと、空気の通り道が妨げられます。
これにより、エアコンは十分な量の空気を吸い込むことができず、設定温度に到達させるためにより多くのエネルギーを消費してしまいます。
結果として、冷暖房の効率が著しく低下し、無駄な電力消費につながります。
また、長年使用している古いエアコンは、内部の部品が経年劣化し、熱交換の効率が悪化している可能性があります。
このような機器の状態も、電気代を不必要に押し上げる一因となります。
設置されている空間の広さや天井の高さ、人の出入りの多さなどに対して、業務用エアコンの能力(馬力)が不足している場合、電気代が高くなる傾向があります。
能力が足りないと、エアコンは常に最大限の力で運転し続けても、なかなか設定温度に到達できません。
このフル稼働の状態が長時間続くことで、消費電力が過大になり、結果的に電気代を押し上げます。
初期導入コストを抑えるために能力の低い機種を選ぶと、かえってランニングコストが高くつく可能性があります。
適切な能力の機種を選定することが重要です。
業務用エアコンの電気代は、日々の少しの工夫で削減することが可能です。
高額なコストをかけて設備を入れ替える前に、まずは運用方法を見直すことから始められます。
ここでは、特別な工事や費用をかけずに、今日からすぐに実践できる具体的な節電のアイデアを紹介します。
これらの方法を習慣化することで、継続的なコスト削減が期待できます。
電気代を節約しようとして風量を「弱」に設定しがちですが、これは必ずしも効率的ではありません。
「弱」運転では設定温度に到達するまでに時間がかかり、結果的に圧縮機の稼働時間が長引いて余計な電力を消費することがあります。
一方、「自動運転」に設定すると、運転開始時は強風で一気に室温を快適な状態にし、その後は室温を維持するために微風や送風に自動で切り替わります。
室温の変化に応じて最も効率の良い運転をエアコンが自動で選択するため、無駄な電力消費を抑えることができます。
暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまる性質があります。
そのため、エアコンを運転していても、室内に温度ムラが生じがちです。
サーキュレーターや扇風機を併用して室内の空気を循環させると、この温度ムラを解消できます。
部屋全体の温度が均一になることで、エアコンの設定温度を過度に上げ下げする必要がなくなり、体感温度も快適に保てます。
結果として、エアコンの稼働負荷が軽減され、消費電力を抑えることにつながります。
特に天井が高い空間では効果が大きくなります。
風向きの設定も、空気の性質を利用した効果的な節電方法です。
冷たい空気は重く、自然と下に降りてくるため、夏場の冷房運転時は風向きを「水平」に設定するのが基本です。
これにより、冷気が部屋の上部から全体に広がり、効率良く室内を冷やすことが可能です。
逆に、暖かい空気は軽く、上に昇っていく性質があるため、冬場の暖房運転時は風向きを「下向き」に設定します。
足元から暖めることで、暖気が自然と上昇し、部屋全体が効率的に暖まります。
エアコンは、運転を開始した直後に最も多くの電力を消費します。
この起動時の負荷を軽減するために、事前の換気が有効です。
例えば、夏場に外出先から戻った際、室内に熱気がこもっている場合は、まず窓を開けて熱を外に逃がしてから冷房のスイッチを入れます。
これにより、室温と設定温度の差が小さくなり、エアコンがフルパワーで稼働する時間を短縮できます。
冬場も同様に、室内の冷え切った空気を外気と入れ替えるなど、運転開始前に室温を外気温に近づける工夫が節電につながります。
フィルターの掃除は、誰でも簡単にできる効果的な節電対策です。
フィルターにホコリが詰まると空気の吸い込みが悪くなり、エアコンは余計な力を使って空気を循環させようとするため、消費電力が増加します。
業務用エアコンは家庭用よりも稼働時間が長く、汚れやすいため、2週間に1回程度の清掃が推奨されています。
定期的な掃除を実践するだけで、冷暖房効率が改善され、数パーセントから十数パーセントの消費電力削減が期待できます。
専門業者による内部洗浄と併せて行うと、より高い効果が見込めます。
室外機は、室内の熱を外部に放出したり(冷房時)、外部の熱を室内に取り込んだり(暖房時)する重要な役割を担っています。
そのため、室外機の周辺の風通しが悪いと、熱交換の効率が低下し、エアコン本体に余計な負荷がかかってしまいます。
室外機の吹き出し口の前に物を置いたり、植木鉢や雑草で覆われたりしないよう、常に整理整頓を心がける必要があります。
周辺に十分なスペースを確保し、スムーズな排熱・吸熱ができる環境を整えるだけで、無駄な電力消費を抑えることができます。
業務用エアコンの運用において、「つけっぱなし」と「こまめなオンオフ」のどちらが経済的かは、多くの事業者が悩む問題です。
エアコンは、室温を設定温度まで変化させる起動時に最も多くの電力を消費します。
そのため、30分程度の短い時間であれば、電源をオフにせず「つけっぱなし」で運転を続けた方が、再起動にかかる大きな電力を消費せずに済み、結果的に電気代を抑えられる場合があります。
しかし、人の出入りが頻繁で外気が入り込みやすい店舗や、数時間にわたって部屋を空ける場合などは、こまめに電源をオフにする方が節約につながることもあります。
施設の利用状況や時間帯に応じて、最適な運用方法を判断することが求められます。
日々の節約術を実践するだけでも一定の効果はありますが、電気代をさらに大きく削減するためには、より根本的な対策が有効です。
これらの対策は初期投資を伴う場合がありますが、長期的な視点で見ればランニングコストを大幅に改善し、結果的に大きなメリットをもたらす可能性があります。
ここでは、設備の更新や環境改善など、抜本的な3つの対策を紹介します。
エアコンの省エネ技術は年々進化しており、10年以上前に製造された古いモデルと最新モデルとでは、消費電力量に大きな差があります。
最新の業務用エアコンは、インバーター制御の精度向上などにより、室温や負荷に応じて運転を細かく調整し、無駄な電力消費を徹底的に抑える設計になっています。
導入には初期費用がかかりますが、月々の電気代削減分で数年以内に費用を回収できるケースも少なくありません。
長期的なコスト削減を最優先で考えるならば、省エネ性能が高い最新モデルへの買い替えが最も効果的な対策の一つです。
エアコンの効率は、建物自体の断熱性能に大きく左右されます。
窓や壁から外の熱気や冷気が侵入しやすい環境では、エアコンは常にフル稼働を強いられ、多くの電力を消費してしまいます。
窓に断熱シートを貼る、二重窓にする、遮熱効果のあるカーテンやブラインドを設置するといった対策は、外気温の影響を和らげるのに有効です。
また、ドアの隙間をふさぐ、壁に断熱材を追加するといった工事も効果的です。
建物全体の断熱性を高めることで、エアコンの負荷を軽減し、根本的な消費電力の削減につながります。
電気代そのものは「使用量×単価」で決まるため、電力の単価自体を引き下げることも有効な手段です。
2016年の電力小売全面自由化以降、多くの企業が電力市場に参入し、特色ある料金プランを提供しています。
現在の電力会社との契約内容を確認し、自社の電力使用パターン(昼間の使用量が多い、特定の季節に集中するなど)を分析した上で、複数の新電力会社から見積もりを取り寄せ、比較検討することが推奨されます。
より安価な料金プランに切り替えるだけで、エアコンの使い方を変えずに電気代の大幅な削減が実現できる可能性があります。
業務用エアコンの電気代は、馬力や機種、稼働時間によって大きく異なりますが、「消費電力(kW)×料金単価(円/kWh)」で大まかな費用を計算できます。
電気代が高くなる主な原因は、外気温と設定温度の差、フィルターの目詰まりといったメンテナンス不足、そして空間の広さに対して能力が不足していることなどが挙げられます。
対策としては、風量を自動運転に設定する、サーキュレーターを併用して空気を循環させる、定期的なフィルター清掃を行うといった日々の運用改善が効果的です。
さらに、省エネ性能の高い最新機種への買い替え、建物の断熱性向上、電力会社や契約プランの見直しといった抜本的な対策を講じることで、より継続的かつ大幅なコスト削減が期待できます。
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